健康にとって背骨を真っ直ぐに立てることがどれだけ大切かを説明していきます。
背骨を真っ直ぐにといってもその真っ直ぐは地球の重力にそった身体の重心線のことを指すのであって、背骨自体はゆるやかなS字歪曲をしています。
しかし眼が前についているため身体が前に向かう傾向があり、また直立した人間は後ろに倒れることを警戒するため上体が前にかかる傾向があります。
立ち始めた赤ちゃんはよく転びますが、ほとんどお尻をついたり前に転び、後ろには転びません。
立っているだけではどこにも力を入れてないように思いがちですが、重力に抗して立った姿勢を維持するためには背中の筋やお尻の筋肉、ふくらはぎの筋肉などの抗重力筋が働いているのです。
したがって運動不足や老化により筋力が弱くなると真っ直ぐ立てなくなります。
しかし、猫背姿勢は老化だけではありません。
現代生活はパソコンやスマホなどの常用によって若いうちから猫背になっています。
姿勢不良は身体を支える筋肉の痛みだけではなく万病の元と言われます。
背骨を支える椎間板、背骨に付着している靭帯や神経が圧迫を受け、腰痛や膝痛など様々な痛みの原因となります。
さらに身体の歪みは血管を圧迫し血圧が高くなり循環器だけでなく内臓の不調、病気の原因になり、頸部の歪みにより脳への血液供給量が少なくなり判断力や思考力が弱まるだけではなく心身症の遠因になると言われています。
また、背骨の両側には交感神経が通っており、緊張すると運動に悪い影響を及ぼすので緩んでいなければならないのです。
それでは姿勢不良にならないためにはどうしたらいいのでしょう。
現在各所で筋肉を鍛えることの重要性が叫ばれていますが、実は筋トレよりもっと重要なのは正しい姿勢を維持することなのです。
ただ、四六時中正しい姿勢をとっていなければいけないというわけではありません。
姿勢が悪い人が無理に長時間正しい姿勢を維持すれば、それがかえって身体のこわばりを引き起こしてしまいます。
姿勢不良が万病の元となり、正しい姿勢を維持することが最高の運動であることを理解し、姿勢が悪いと気が付いたときに姿勢を正し、数分間それを維持するのです。
そうして長い時間をかけて姿勢をなおしていくのがよいのです。