ふだん、呼吸と脳の関係を意識して呼吸をしている人はいないでしょう。
しかし、呼吸は脳脊髄液と深く関わっています。
脳脊髄液は脳を保護して身体のすみずみまで流れ、新陳代謝に大切なはたらきをします。
一日に一回でもけっこうですから、息を思いきり吸って、続いて、これ以上吐けないというところまで、思いきり息を吐き切って下さい。
「もう、これ以上息を吐くと心臓が止まってしまうんじゃないか」
というぐらい、息を吐き切ってください。
私たちは、ふだん当たり前のように呼吸をしていますが、呼吸は骨盤の中心に位置する仙骨と、仙骨と硬膜でつながっている頭蓋骨の中心にある後頭骨と蝶形骨に連動しています。
息を吸うと仙骨の上部が後ろに動き、下部が前に動くのに連動して、後頭骨と蝶形骨の結合部が上に動きます。
そして息を吐くと仙骨は元の位置に戻り、後頭骨と蝶形骨は下に動きます。
このように、仙骨と後頭骨・蝶形骨が連動して、呼吸のメカニズムの要となっているのです。
体調の悪い人や病気の人は、自然に呼吸が浅くなってしまいます。
ですから意識的に深い呼吸をすることが大切です。
息を思い切り吸って限界まで吐き切ると、脳脊髄液の流れが良くなって新陳代謝が活発になります。
とはいえ、ずっとやりっぱなしではかえって身体によくありません。
一日一回から三回というのが目安です。
息を吐き切ると、自分が背負い、引きずっていた思いも身体の外に吐き出すことにもなります。
ですから息を吐き切るという行為は、新しい物事を受け入れるための準備運動にもなるのです。
例えば競輪のトップレーサーは、ものすごい練習量をこなします。
運動するだけ呼吸量も増えるわけですが、練習のとき、
「俺はもうダメだ」
などと思っていると、たちまちレースで負けだします。
それと反対に、
「俺は強い!絶対に勝てる」
と思っていると、どんどん勝てるようになるという実例を、私はたくさん見ています。
つまり、練習がいかにつらくても、苦しくても、息を吐き切ったときに自分にどれだけ前向きな言葉をかけられるかにかかっているのです。
また、
「つらいなあ」
「苦しいなあ」
と一瞬思ったとしても、本心は絶対に勝つんだと念じている選手も勝つことができます。
「つらい、苦しい」
と口先で言っているだけならまだしも、心から弱気になってしまったらその選手は絶対に勝つことは出来ません。
どんどんエネルギーを吐きだしてしまうので、どんどん弱くなっていくのです。
ですから、息を吐いて頭の中を空っぽにしたときに、前向きなことを考えることが大切です。
「幸せだ。恵まれている」
と思っていれば、その通りの人たちに出会うことになります。
息を吐くとき、自分の思い・心をどれだけ前向きにできるかということです。
深い息を吐いて、今までのストレスを外に掃き出してあげてください。